今夜はビールのお話、ナカトミツヨシ(@meganetosake)です。
先日グランドキリンを呑みながら、ぼーっと公式サイトを眺めていた。すると製法の説明に「ディップホップ製法」という名前が度々登場した。ディ…ディップホップ?正直にいうと、初耳だった。
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ホップ投入のタイミング
ビールは水・麦芽・ホップのバランスで味が変わる。さらにホップは、ビール特有の苦味や香りの元になるのだが、その投入するタイミングによって、同じポップを使用していても苦みや香りが異なってくるらしい。今まで多かったホップの投入方法は主に二つ。
『レイトホップ』
醸造工程における煮沸の後・発酵前にホップを投入。その後発行の過程があることから、穏やかな香りがつけられる。日本でお馴染みのピルスナースタイルなどによく用いられる。
一方で、苦味がつきやすい。
『ドライホップ』
ビールの発酵後、貯蔵させるタイミングでホップを投入。こちらはしっかりとした特徴的な香り付けが行なえるため、IPAをはじめホップの個性を特徴とするビアスタイルに重宝されている。
一方で、クセやトゲのある松ヤニ系の『ミルセン』という香り成分もついてしまう。
ディップホップは「発酵中」に投入
それに対して『ディップホップ』は、ビール醸造の発酵中に酵母と一緒にホップを投入する。発酵前に投入する「レイトホップ」発酵中に投入する「ディップホップ」発酵後に投入する「ドライホップ」というわけだ。
発酵中にホップを投入することで発酵を促進し、爽やかでフローラル、そして豊潤な香りを楽しめる一方で、レイトホップで付きやすい苦みや、ドライホップで付きやすい松ヤニ系の香りもなく、飲みやすさも両立できたという。つまり、レイトホップとドライホップのいいとこ取りだ。
生み出したのは、我らが「キリン」
この技法、編み出したのはなんとキリン。まさに今飲んでいたグランドキリンのオリジナルが誕生した2012年、同時に生み出された技法なのだそう。今では特許も取得し、スプリングバレー 豊潤 <496> などにもこの技法が使われている。
ビールに新たな選択肢を
スプリングバレーもだが、どうりで呑みやすいわけだ。苦味は少なく、ビールが苦手な人との掛橋にもなれる。ただ無個性かというと、豊かな香りをしっかりと楽しむことができる。逆にもっとパンチのあるビールが好きな人には優しいビールかもしれない。
しかしビールとは、苦くてドライなだけではない。もともとそういうビールが苦手だった(今は好き)私にとっては、ビールが苦手だと思っていた当時、もしこの技法で作られたビールがあれば、もっと早くビールが好きになっていたかもしれない。そんな、可能性さえ感じる「ディップホップ」で作られたビール、今後はもう少し意識して、飲んでみようかなと思う。