ビールが好きになったのは結構大人になってからなナカトミツヨシ(@meganetosake)です。
冷えた缶をプシュッと開けて、喉めがけて一気に流し込む。熱くなったカラダが全身を震わせて「やっぱ人生、この時のために生きているようなもん」と思わず叫ぶだろう。いいよね、ビール。ここで喉を鳴らした人に悪い人はいない。
しかしちょっと待ってほしい。実はビールは缶で呑むより、グラスに注いだ方がより美味しく楽しむ事ができる。実は、と言いながらこれは完全にヱビスビール記念館(執筆時は新型コロナウイルス感染症拡大を受け休館中)の受け売りだ。ヱビスビール記念館ではプロが缶ビールをグラスに注いでくれるのだが、家で呑むソレとは大違い、とんでもなく美味しくて衝撃を受けた。実際にレクチャーしてもらいながらその場で自分でも注いだのだが、やはり美味しい。ヱビスビール記念館では、その他にもヱビスの歴史や珍しいグッズなどもてんこ盛りなので、落ち着いたらぜひ遊びに行ってほしい。
若干話が逸れたが、今回はヱビスビール記念館で教わったビールが美味しくなる注ぎ方と、なんで美味しくなるのか、皆さまにもお伝えしたい。
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ビールが美味しくなる決め手は「三段注ぎ」
ただ注げばいいわけではなく、コツがある。それが「三段注ぎ(三度注ぎ)」と言われる方法だ。ビールを泡立てながら3回に分けて注ぐことで余分な炭酸ガスを飛ばし、さらに泡のフタを作ることでビールの美味しさを封じ込める注ぎ方だ。
- グラスをテーブルに置き、グラス底面に当たるように勢いよくビールを注ぐ。だいたい5分目くらいまで。この時は泡だらけで大丈夫。
- 上部の粗い泡が消えたら、今度はグラスの9分目までゆっくりと、泡を壊さないようにビールを注ぐ。
- 泡が落ち着いたら、ビールと泡の比率が7:3になるよう仕上げる。泡がグラスからはみ出るくらい注げたら完成。
この一手間をかけることで、普段呑み慣れたビールがさらに美味しくなる。是非一度、チャレンジしてほしい。
なんで注ぎ方で味が変わるの?
缶ビールには多くの炭酸ガスが入っている。それゆえ、缶から直接呑んでしまうと炭酸ガスがほとんど抜けないまま口に入るので、舌に強い刺激を感じる。これが雑味を増やしてしまったり、まろやかさを阻害してしまうのだそうだ。
よく泡立ててビールを注ぐことで、この不要な炭酸ガスを飛ばすことができる。そうすると、口当たりもまろやかになり、泡もクリームのようなきめ細かな泡になっていくのだ。グラスに注いだとしても、ゆっくり泡立てずに注いでしまうと、結局この不要な炭酸ガスが抜けないままになってしまう。しっかり泡立てるかどうか、この一手間がビールの味を変えていくのだ。
ビールの泡は「フタ」の役割がある
また、泡立てる理由は不要な炭酸ガスを飛ばすだけではない。ビールにふっくらと泡を乗せることで、この泡が、いわば「フタ」のような役割を果たしてくれるのだ。
この「フタ」があることで、必要以上に炭酸ガスが抜けてしまうことを防いだり、香りが逃げないようになる。またビールが空気に触れて酸化するのを抑制する働きもあるそう。まさに、ビールの鮮度を保ってくれるのだ。泡が乗ったビールって美味しそうに見えるが、実際にビールの美味しさを守ってくれるヒーローだったのだ。
炭酸のキレと喉越しが欲しい場合はあえての「一段注ぎ」でも
ここまでは、ヱビスビール記念館で教わった方法なので、いわばヱビスビールの場合の話。多くの缶ビールで美味しくなる方法なのだが、全てのビールが当てはまるわけではない。
むしろ炭酸のキレと喉越しを楽しむためのビールなら、泡の層は作りつつもあまり炭酸ガスを飛ばさないようにゆっくり注いだほうがいい。炭酸ガス含有量の低いビールも同じだ、ガッツリ炭酸ガスを飛ばす注ぎかたをすると、刺激のない味になってしまうだろう。
あとこの注ぎかたは完成まで時間がかかる。泡が消えるまでの待ち時間が思ったより長いのだ。もう、今すぐビールを呑ませてくれ!頼む!!という状態だったら、迷わず缶のまま流し込んじゃった方がいいだろう。
思うに、缶ビールはグラスに注いでから呑んだほうがきっと美味しくなる。泡をしっかり作ることで、口当たりを整えつつビールの香りや炭酸が逃げにくくなり、最後まで美味しく呑むことができるからだ。ただ、その注ぎかたはビールによって、またシチュエーションによって少しずつ変えていく必要があるだろう。是非ベストな注ぎかたを見つけて、あなたのビールを、より輝かせてあげて楽しんでみてほしい。