私のベストジャパニーズピルスナービール、ナカトミツヨシ(@meganetosake)です。
どのビールにする?選択肢があるなら、私はヱビスビールを選ぶ。そのくらい日本産のラガー(ピルスナー)ビールの中では、一番好きなビールだ。夕焼けの空のように透き通った黄金のビールは、旨みとふくよかなコクが合わさって料理や、時間そのものを引き立てる。
今回はそんなヱビスビールを、実際に呑みながら、魅力をお伝えしていきたい。
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本場ドイツから学んだ本格ビール
鯛と釣竿を持った恵比寿様が印象的なデザインのヱビスビールは、サッポロビールが製造・販売する麦芽100%のピルスナービール。1890年に「日本一のビールメーカーになる」ことを掲げ、「本物のおいしさ」にこだわり、本場ドイツから醸造設備や醸造技師まで呼んで、本格的なビール作りをスタートさせたのが始まり。まさに、本物のビールの先駆者だ。ちなみに東京にある恵比寿駅の由来は、地名じゃなくてこのヱビスビール。出荷専用の貨物駅「恵比寿停留場」の隣に作られた旅客駅が「恵比寿駅」だったのだ。なので、渋谷区に存在する地名「恵比寿」も、ヱビスビールが由来となっている。
そんなヱビスビールはこだわりがある。
「麦芽100%でつくること。」
「吟味された原料、吟味された酵母を用いること。」
「通常の1.5倍の長期熟成をすること。」
このこだわりが、ヱビスビールの品質と美味しさにつながっている。喉が渇いてきた。ここからは実際にヱビスビールをいただきながら、味や質感をみていきたい。
ヱビスビール記念館直伝の、三段注ぎで注いでいく。
吟味しつくされた原料と製法がつむぐ旨みと、ふくよかなコク
まず目に入るのは、夕焼けの空のような黄金の色。そして透き通る透明感だ。ヱビスビールの色はまさに「黄金」という言葉がふさわしいような煌めきがあり、注ぐたびにちょっとワクワクする。ぜひグラスに注いで、その色や透明感も味わってほしい。
ちなみにヱビスビールの黄金を目にするたびに、風の谷のナウシカを思い出す。あの、黄金感なのだ。
そして、きめ細かなモチモチの泡。弾力もあるが柔らかくクリーミーな白い泡だ。ヱビスビールは泡も美味しい。黄金のビールと混ざることで口いっぱいにクリーミーなまろやかさが広がって、よりヱビスビールを引き立ててくれる。
では、一口いただこうと思う。
んーー!!やはり、美味しい。
口に入れた瞬間や、鼻に抜ける香りはかなり華やかなタイプのビールだ。吟味された欧州産麦芽、バイエルン産アロマホップの香り、そしてヱビス酵母の華やかな香りがバランスよく、そしてしっかりと香ってくる。この香りは「ヱビス香」とも呼ばれ、鼻に抜ける香りの余韻を楽しみながら、同時に口の中でまろやかな旨みも演出してくれる。
そして口当たりは、後味はキレがあるのですが、それでいて深いコクがあるタイプ。副原料を一切使わず、麦芽100%とホップでつくったヱビスビールは、麦芽やホップの使用量も多いそう。ただそうなると所謂「キレ」の強い味にもなりそうだが、ヱビスビールは長期熟成させることで、深いコクも引き出している。
これがヱビスビールの味の魅力。素材と長期熟成の合わせ技で、深くふくよかなコクがありながら、雑味の少ない丸みのある風味で、後味はキリッと締まりのある味わいなのだ。だからビール単体としても美味しいし、食事と合わせても邪魔をしない、むしろ引き立ててくれるビールに仕上がっている。このメリハリのある味わいはヱビスビールならでは。
ヱビスビールのベストパートナーは塩料理
ヱビスビールはバランスの良いビールなので、基本的にどんな食事にも合わせられる。ただ、さっぱりというよりはコクのあるビールなので、個人的には脂を味わう料理よりは、塩が効いた料理がオススメだ。
焼き鳥、焼き豚、天麩羅…塩が効いた料理には、ヱビスビールはとことん合う。寿司よりは刺身、刺身よりは塩焼きの魚、そんなイメージだ。
また日本で進化を遂げたとはいえ、本場ドイツの風味も色濃く残る。なのでドイツ系の料理との相性もかなり良い。ジャーマンポテトや、ソーセージなんかも抜群だ。口の中に塩の香りが残る中に流し込むヱビスビールはまた格別。ぜひ、さまざまな料理に合わせてみてほしい。
ビールも悪くないと思わせてくれたビール
実は私、元々ビールは得意ではなかった。クラフトビールもまだ無く今ほど選択肢がなかったあの頃、どうしてもビールは喉越し!ドライ!淡麗!な時代で、苦いイメージが先行してしまっていた。今となってはそんなビールも大好きなのだが、まだ経験の浅い当時は、その魅力にはどうしても気づけなかった。
そんな時に出会ったのが、ヱビスビールだった。良い香りとコクのある旨味に衝撃を受け、あれ、ビールも悪くないかもしれないと思わせてくれたビールだ。それからというもの、ビールのイメージを変えてくれたヱビスビールがいまだに大好きで、そこからドライなビールや海外ビールまで自分の嗜好を広げてくれたビールとして、とても感謝している。ビール好きとなった私が今いるのは、ヱビスビールのおかげなのだ。
なんか思い出話になってしまったが、そんな愛すべきヱビスビール、今後とも人生のお供として楽しんでいきたいビールだ。
ごちそうさまでした。