ついに買ってしまった、ナカトミツヨシ(@meganetosake)です。
うすはりグラスをご存知だろうか。とんでもなく薄く、驚くほど軽い。そして、うすはりグラスで呑むとビールが美味しくなると、酒呑みの間でまことしやかに噂される魅惑のグラスだ。
ちょっとグラス自体の値段が高いこともあり、強がって噂程度で受け止めていたのだが、先日とあるお寿司屋さんでこのグラスに注がれたビールを呑む機会があった。素直に言うともう、美味しくてビックリ。いったいどんな美味しいビールを使っているのかと思わず尋ねると、私がいつも呑んでいるビールだった。嘘だ…と思いながらもう一口呑んでみても、やっぱり美味しい気がする。
なんだかキツネにつままれた気持ちになり、うすはりグラスの事ばかり考えていたある日。偶然うすはりグラスを売っているお店が目の前に現れた。運命だよね。
衝動買いに近い形で購入したうすはりグラス、改めて自分で注いでも美味しくなるのか、試してみた。
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触った瞬間わかる、熟練の技術の結晶
うすはりグラスを製造するのは、松徳硝子という大正時代から続くガラス会社だ。その確かな技術で、全て一つ一つ手作りされている。
名前の通り、とにかく薄い。どのくらい薄いのかというと、ガラスの厚みが1mm未満。普通のグラスは大体厚みが2mm以上のものが多いらしいので、半分以下の薄さということになる。凄いのはなんとなくわかるけど、正直あまりピンとこない。
しかしその驚きはまず、触った瞬間から始まる。本当に今私はガラスを触っているのかな…と疑ってしまうほど軽くて、薄い。プラスチックっぽい感じはないんだけど、でも微かに弾力があって、薄さのわりには”握っただけで割ってしまいそう”といった危うさも感じない。むしろ普通のグラスよりも安心して持てる気さえしてくる、不思議な触り心地だ。薄いからといって変に気を使って扱ってしまう…みたいなこともなく、普通に使えそう。
呑んだらわかる、驚きの呑み心地
今回はほぼビール用にうすはりグラスを買ったが、たまにはハイボールなども呑みたいと思い、ピルスナータイプのビールグラスではなくタンブラーのペアセットを選んだ。ペアセットだと木箱に入ってくるので、買った瞬間からテンションが上がる。
早速、ビールを注いでみる。呑み心地を比べるために、ビールは一番呑み慣れているヱビスビールで試してみた。
早く呑みたい気持ちを抑えて、ゆっくりと、グラスへ注ぐ。
無事注ぐことができた。待ちきれないので早速、手に取ってみようと思う。
グラスの温度がすぐに飲み物に馴染む
まずビールを注いだグラスを手に取った瞬間驚いたのだが、グラスを冷やしていたわけではないのに、飲み物を注いだその時からグラスの温度が飲み物に馴染んでいた。
厚みのあるグラスだと、せっかく冷えたビールを注いでもグラスが温度を奪ってしまい、ビールの温度をあげてしまう事がある。そのためグラス自体を冷やしておいたりするのだけど、うすはりグラスは薄さ故かすぐに飲み物の温度へ、グラスが合わせにいった感じがした。
なので、手に持った瞬間「あっ、よく冷えたビールだ」ということが指先からも伝わってきた。
驚くほど「スッ」と呑める
そのまま唇へグラスを運ぶ。うーーん、美味しい。唇からもビールの冷たさを感じると共に、繊細なグラスの質感も伝わってきた。やはり少し弾力を感じるその質感は、薄いんだけどしっかりしていて、柔らかい和紙に触れたような感触。
そしてビールがグラスを通して私の喉に届くまで、一切の障害物を感じないほどスッと入ってくる。もはや私はグラスなんか使っていなくて、突然ビールが口に届いたんじゃないかと思うほど、なにものにも邪魔されずに純粋にビールを楽しめているような気持ちになった。
飲み物と唇に境目がない、器なしで呑んでいるような感覚
これは大袈裟な表現ではなく、本当に器を使わずにビールを呑んでいるような気がした。唇とグラスが同化しているような。そのくらい、うすはりグラスは”ビール”と”私”をスムーズに橋渡ししてくれるのだ。飲み物と唇の境目がないような感覚は、このグラスでしか味わえないだろう。
その呑み心地はビールを美味しくするのか
ここまでちょっと感覚的な話が多かったが、はたしてそれはビールを美味しくするのか。
先に結論を申し上げると、もう、めっちゃ美味しくなる。「スッ」っとビールが入ってくるので、口に入れた瞬間の余計な泡立ちもなく、口当たりがとても滑らか。舌の上を滑るように喉へビールが届くので、口全体で香りを楽しみながら堪能できる。例えば香りの高いクラフトビールなんかも存分に楽しむ事ができるだろう。
さらに先に述べた「感覚的」なエッセンスが、より一層ビールを美味しく感じさせてくれる。ビールは五感で楽しむものだ。ただ単純に味が美味しいだけではなく、手触りや唇で感じる感触や温度、鼻を抜ける香り、そして透明度の高いうすはりグラスはビール本来の色も表現してくれて、視覚でも楽しむ事ができる。
こういった、ただ単純に味だけではない、「ビールを楽しむ時間」を盛り上げてくれるようなエッセンスが、実は一番ビールを美味しくしてくれるのだ。流石にこれは気のせいだと思うけど、ビールを注ぐ音まで違う気さえしてくる。うすはりグラスは、ビールの味はもとより、そんなかけがえの無い「時間」をいつもより贅沢に、より一層楽しませてくれるグラス。お酒好きは持っておいて損はないおすすめのグラスだ。
実は意外と割れにくい(らしい)
これだけガラスが薄いなんて、割れやすいんじゃないの?そういう心配が頭をよぎるだろう。私もよぎった一人だったので、購入前に店員さんに相談してみた。
実は、うすはりグラスは思ったより丈夫で割れにくいらしい。それは硬いから割れにくいというわけではなく、逆に薄さ故のしなやかさがあるから、割れにくいのだとか。
まだ割れるような危険には見舞われていないので確かめたわけではないが、思ったより割れにくいのかもしれない。とはいえ他のガラス製品と同様、ガラスであることには変わりはないので、丁寧に扱おう。また食洗機を使う際は、熱に弱いので熱湯を使うものは避けた方が良いとのこと。それだけ気をつければ基本的に食洗機は使えるようだが、食洗機用では意外と多いアルカリ製の洗剤はガラスを曇らせる可能性があるので、中性の洗剤を使ってね、とのことだ。
幸い我が家に食洗機は無いので、丁寧に中性洗剤で手洗いしながら、末長く使っていきたい。
ごちそうさまでした。